📣 2026年12月~2027年1月のテーマ作品は……
呉明益の『眠りの航路』です!
【眠りの異変が導く、父の沈黙に秘められた戦争の記憶とは。】
台北で暮らす「ぼく」は、竹の開花を機に睡眠の異常を経験し、父・三郎の人生を追憶する。太平洋戦争末期、台湾から少年工として日本へ渡った父の足跡をたどるため日本を訪れた「ぼく」は、父が過ごした戦時下の日々と、慕われていた平岡君(三島由紀夫)の存在、終戦を迎えた少年工たちの記憶を掘り起こしていく。
台湾と日本の歴史が交差する物語を通して、戦争が人々の人生に残したものを問いかける、作家の原点となる一作を読み深める!
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呉明益『眠りの航路』(白水Uブックス)
今回は、台湾を代表する作家・呉明益が2007年に発表した長篇デビュー作『眠りの航路』を取り扱います。🛌
台湾の文学賞を数多く受賞し、代表作『自転車泥棒』が国際ブッカー賞の候補に選ばれるなど、国際的な注目を集める呉明益。その文学世界の原点に触れられる一作です!
本作の執筆にあたり、呉明益は自身の父にも重なる台湾人少年工の歴史を探るため、高座海軍工廠の跡地を訪れるなど、膨大な歴史資料の調査・研究を重ねました。
さらに、三島由紀夫の全作品を読み込み、少年工たちと交流した若き日の三島(平岡公威)に着目し、『仮面の告白』や『春の雪』をはじめとする三島作品が物語に織り込まれています。
三島由紀夫の作品に親しんできた方はもちろん、作品同士のつながりを読み解くことで、より深く『眠りの航路』の世界を味わえるのではないでしょうか。
また、10月22日に白水Uブックスから出版された文庫版には、平野啓一郎が解説文「眠りの中で目覚める」を寄稿しています。
今回は特別に、その冒頭部分を公開いたします!
一読して、難解な小説という印象を持った読者は、少なくないだろう。取り立てて観念的な議論が続くわけではなく、寧ろ全体としては、具体的なエピソードが豊富であるのに、モザイク状にちりばめられたその過剰な情報に気を取られながら、どうも全体像が明瞭とならない。──そんな感想ではあるまいか。
ここには何か、小説としての問題があるのではないかと、訝る向きもあるかもしれない。その問題を、難点として処理してしまえば、本作との関係は断たれてしまう。しかし、そう出来ない手応え、重みが、読後に確かに残されていると感じた読者は、冒頭に戻って再読し、俄に視界が開けてゆくのを感じたことであろう。
この冬は、幾重にも重なる物語を読み解く面白さと、世代を超えて受け継がれる人生の物語に触れてみませんか📚
【イベントスケジュール予定】
・12月20日(日)11:00〜13:00
平野啓一郎が語る『眠りの航路』
・1月30日(土)11:00〜13:00
平野啓一郎×呉明益──『眠りの航路』を語る



